アルコール検知器 を用いた酒気帯びの有無の確認等について(通達)

道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令の施行に伴うアルコール検知器
を用いた酒気帯びの有無の確認等について(通達)


道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令(令和5年内閣府令第62号。以下「改
正府令」という。別添)は、本日公布され、安全運転管理者に対するアルコール検知
器を活用した酒気帯びの有無の確認等の規定は適用しないこととする暫定措置を廃止
する規定については令和5年12月1日から施行されることとなった。
改正府令の内容及び留意事項については下記のとおりであるので、改正府令が円滑
かつ適切に施行されるようにされたい。
なお、「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令等の施行に伴う安全運転管
理者業務の拡充について(通達)」(令和3年11月10日付け警察庁丁交企発第412号ほ
か)及び「安全運転管理者制度に関する留意事項について(通達)」(令和4年9月9
日付け警察庁丁交企発第218号)については、廃止する。

第1 改正府令の内容
令和4年4月1日以降、運転前後の運転者に対し、当該運転者の状態を目視等
で確認することにより、当該運転者の酒気帯びの有無を確認すること及びその確
認の内容を記録し、当該記録を1年間保存することとされていた一方で、アルコ
ール検知器を用いて酒気帯びの有無の確認を行うこと及びアルコール検知器を常
時有効に保持すること(以下「アルコール検知器使用義務化規定」という。)に
ついては、当時のアルコール検知器の供給状況等から、事業所において、十分な
数のアルコール検知器を入手することが困難であると認められたことから、当分
の間、適用しないこととする暫定措置がとられていた。
この度、安全運転管理者等に対するアンケートの実施結果等を踏まえ、アルコ
ール検知器の供給状況が改善傾向にあると認められたほか、飲酒運転の防止を図
るためには、できる限り早期に、令和3年11月に公布されたアルコール検知器使
用義務化規定を施行することが望ましいと認められたことから、改正府令により
暫定措置を削除し、令和5年12月1日からアルコール検知器使用義務化規定を適
用することとされた(道路交通法施行規則昭和35年総理府令第60号。以下「府
令」という。)第9条の10関係)。
第2 留意事項
1 運転前後の運転者に対する酒気帯びの有無の確認
⑴ 業務の開始前後の運転者に対する確認
府令第9条の10第6号に定める「運転しようとする運転者及び運転を終了し
た運転者」における「運転」とは、一連の業務としての運転をいうことから、
同号に定める酒気帯びの有無の確認(以下「酒気帯び確認」という。)は、必
ずしも個々の運転の直前又は直後にその都度行わなければならないものではな
く、運転を含む業務の開始前や出勤時及び終了後や退勤時に行うことで足りる。
⑵ 目視等及びアルコール検知器による酒気帯び確認の方法
「目視等で確認」とは、運転者の顔色、呼気の臭い、応答の声の調子等で確
認することをいう。
酒気帯び確認の方法は対面が原則であるが、直行直帰の場合その他対面での
確認が困難な場合にはこれに準ずる適宜の方法で実施すればよく、例えば、運
転者に携帯型アルコール検知器を携行させるなどした上で、
① カメラ、モニター等によって、安全運転管理者が運転者の顔色、応答の声
の調子等とともに、アルコール検知器による測定結果を確認する方法
② 携帯電話、業務無線その他の運転者と直接対話できる方法によって、安全
運転管理者が運転者の応答の声の調子等を確認するとともに、アルコール検
知器による測定結果を報告させる方法
等の対面による確認と同視できるような方法が含まれる。
⑶ アルコール検知器の性能等
ア 性能
アルコール検知器については、道路交通法施行規則第九条の十第六号の規
定に基づき、国家公安委員会が定めるアルコール検知器を定める件(令和3
国家公安委員会告示第63号)により、呼気中のアルコールを検知し、その
有無又はその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有する機器で
あれば足りることとされている。
また、アルコール検知器には、アルコールを検知して、原動機を始動する
ことができないようにする機能を有するものを含む。
イ アルコール検知器を常時有効に保持することについて
「常時有効に保持」とは、正常に作動し、故障がない状態で保持しておく
ことをいう。このため、アルコール検知器の製作者が定めた取扱説明書に基
づき、適切に使用し、管理し、及び保守するとともに、定期的に故障の有無
を確認し、故障がないものを使用しなければならない。
ウ 個人で購入したアルコール検知器
酒気帯び確認に使用するアルコール検知器は、基本的には、自動車の使用
者が購入すべきものであると考えられる。ただし、各事業所の個別の事情に
より、個人で購入したアルコール検知器を使用する必要がある場合には、安
全運転管理者において、当該アルコール検知器が正常に作動し、故障がない
状態であるかどうかの確認を定期的に行うなど、安全運転管理者が「常時有
効に保持」するアルコール検知器と同等の管理が行われているものに限り、
個人で購入したアルコール検知器を使用することは差し支えない。
⑷ 他の自動車の使用の本拠における確認
同一の自動車の使用者が他の自動車の使用の本拠において安全運転管理者を
選任しており、当該他の自動車の使用の本拠となる事業所(以下「他の事業所」
という。)において運転者が運転を開始し、又は終了する場合には、他の事業
所の安全運転管理者の立会いの下、運転者に他の事業所の安全運転管理者が有
効に保持するアルコール検知器を使用させ、測定結果を電話その他の運転者と
直接対話できる方法で所属する事業所の安全運転管理者に報告させたときは、
酒気帯び確認を行ったものとして取り扱うことができる。
⑸ 安全運転管理者以外の者による確認
安全運転管理者の不在時など安全運転管理者による確認が困難である場合に
は、安全運転管理者が、副安全運転管理者又は安全運転管理者の業務を補助す
る者(以下「補助者」という。)に、酒気帯び確認を行わせることは差し支え
ない。運転者に対する酒気帯び確認は、業務委託であっても差し支えないが、
例えば、運転者が酒気を帯びていることを補助者が確認した場合には、安全運
転管理者へ速やかに報告し、必要な対応等について指示を受けるか、安全運転
管理者自らが運転者に対して運転中止の指示を行うとするなど、安全運転を確
保するために必要な対応が確実にとられることが必要である。
酒気帯び確認の内容の記録について
酒気帯び確認を行った場合は、次の事項について記録すること。
⑴ 確認者名
⑵ 運転者
⑶ 運転者の業務に係る自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
⑷ 確認の日時
⑸ 確認の方法(対面でない場合は具体的方法等)
酒気帯びの有無
⑺ 指示事項
⑻ その他必要な事項
3 アルコール検知器の使用に関する事業者への周知
施行日以降アルコール検知器を用いた酒気帯び確認が確実に行われることとな
るよう、安全運転管理者講習等の機会を通じて周知を図ること。
4 違反行為の検挙を契機とした安全運転管理者の選任の有無の確認等
業務中の飲酒運転等を検挙した場合には、その背後責任について徹底した捜査
を行い、安全運転管理者の選任の有無やその業務の実施状況について確認を行う
こと。
その際、安全運転管理者等に対して飲酒運転の防止を図るための措置の実施状
況について報告を求めるほか、飲酒運転の根絶に向けた事業者による積極的な取
組を促すための措置を講ずること。
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内閣府令第六十二号
道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第七十四条の三第二項の規定に基づき、道路交通法施行規則
一部を改正する内閣府令を次のように定める。
令和五年八月十五日
内閣総理大臣岸田文雄
道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府