逸失利益算定と減価償却費

名古屋高裁金沢支部18/10/16判決  

 

  (イ)本件事業年度の決算報告書中の損益計算書の販売費及び一般管理費のうち,1審原告の逸失営業利益損害の算定に当たって,上記ウで説示した固定経費等として営業上の収益から控除すべきでない経費は次のとおりである。
  ① 役員報酬180万円
 役員報酬は,1審原告の営業利益等を含む企業利益から支払われるべきものであるから,1審原告の逸失営業利益損害を算出するに当たっては,これを控除すべきではない。
  ② 

    (イ)本件事業年度の決算報告書中の損益計算書の販売費及び一般管理費のうち,1審原告の逸失営業利益損害の算定に当たって,上記ウで説示した固定経費等として営業上の収益から控除すべきでない経費は次のとおりである。
  ① 役員報酬180万円
 役員報酬は,1審原告の営業利益等を含む企業利益から支払われるべきものであるから,1審原告の逸失営業利益損害を算出するに当たっては,これを控除すべきではない。
  ② 減価償却費274万8693円
 証拠(甲25の4,甲41ないし44,乙24)及び弁論の全趣旨によれば,上記減価償却費は,1審原告が本件事業年度当時所有していた減価償却対象資産(カラオケ店営業用以外のものも含まれている。)についての法律に従ってされた減価償却費であることが認められるが,減価償却費は,使用や時の経過による陳腐化などに伴って生ずる固定資産の経済価値の減少分を見積もり,その見積額を固定資産の耐用年数内の各会計期間に費用として配分するものであり,課税対象となる所得金額を算定する際に用いられる税務会計上の概念であり,現実に金銭の出入りを伴うものではなく,将来の更新に備えて内部留保されるべきものであり,また,使用や陳腐化による経済価値の減少は休業中であっても生じるから,固定経費又はこれに準じるものというべきである。
 したがって,1審原告の逸失営業利益を算出するに当たって,これを控除すべきではなく,これに反する1審被告らの主張は採用できない(なお,1審被告らは,本件事故で本件建物の付属設備,構築物,器具及び備品は価値を失ったものであり,価値を失ったものについて,本件事故以降に,その維持に必要な経費あるいは経年劣化による損失を観念することはできない旨主張するが,そうとすると,なおさら,1審原告の逸失営業利益を算出するに当たっては,その減価償却費を控除すべきでないことになるはずである。)。


② 減価償却費274万8693円
 証拠(甲25の4,甲41ないし44,乙24)及び弁論の全趣旨によれば,上記減価償却費は,1審原告が本件事業年度当時所有していた減価償却対象資産(カラオケ店営業用以外のものも含まれている。)についての法律に従ってされた減価償却費であることが認められるが,減価償却費は,使用や時の経過による陳腐化などに伴って生ずる固定資産の経済価値の減少分を見積もり,その見積額を固定資産の耐用年数内の各会計期間に費用として配分するものであり,課税対象となる所得金額を算定する際に用いられる税務会計上の概念であり,現実に金銭の出入りを伴うものではなく,将来の更新に備えて内部留保されるべきものであり,また,使用や陳腐化による経済価値の減少は休業中であっても生じるから,固定経費又はこれに準じるものというべきである。
 したがって,1審原告の逸失営業利益を算出するに当たって,これを控除すべきではなく,これに反する1審被告らの主張は採用できない(なお,1審被告らは,本件事故で本件建物の付属設備,構築物,器具及び備品は価値を失ったものであり,価値を失ったものについて,本件事故以降に,その維持に必要な経費あるいは経年劣化による損失を観念することはできない旨主張するが,そうとすると,なおさら,1審原告の逸失営業利益を算出するに当たっては,その減価償却費を控除すべきでないことになるはずである。)。

74万8693円
 証拠(甲25の4,甲41ないし44,乙24)及び弁論の全趣旨によれば,上記減価償却費は,1審原告が本件事業年度当時所有していた減価償却対象資産(カラオケ店営業用以外のものも含まれている。)についての法律に従ってされた減価償却費であることが認められるが,減価償却費は,使用や時の経過による陳腐化などに伴って生ずる固定資産の経済価値の減少分を見積もり,その見積額を固定資産の耐用年数内の各会計期間に費用として配分するものであり,課税対象となる所得金額を算定する際に用いられる税務会計上の概念であり,現実に金銭の出入りを伴うものではなく,将来の更新に備えて内部留保されるべきものであり,また,使用や陳腐化による経済価値の減少は休業中であっても生じるから,固定経費又はこれに準じるものというべきである。
 したがって,1審原告の逸失営業利益を算出するに当たって,これを控除すべきではなく,これに反する1審被告らの主張は採用できない(なお,1審被告らは,本件事故で本件建物の付属設備,構築物,器具及び備品は価値を失ったものであり,価値を失ったものについて,本件事故以降に,その維持に必要な経費あるいは経年劣化による損失を観念することはできない旨主張するが,そうとすると,なおさら,1審原告の逸失営業利益を算出するに当たっては,その減価償却費を控除すべきでないことになるはずである。)。


② 減価償却費274万8693円
 証拠(甲25の4,甲41ないし44,乙24)及び弁論の全趣旨によれば,上記減価償却費は,1審原告が本件事業年度当時所有していた減価償却対象資産(カラオケ店営業用以外のものも含まれている。)についての法律に従ってされた減価償却費であることが認められるが,減価償却費は,使用や時の経過による陳腐化などに伴って生ずる固定資産の経済価値の減少分を見積もり,その見積額を固定資産の耐用年数内の各会計期間に費用として配分するものであり,課税対象となる所得金額を算定する際に用いられる税務会計上の概念であり,現実に金銭の出入りを伴うものではなく,将来の更新に備えて内部留保されるべきものであり,また,使用や陳腐化による経済価値の減少は休業中であっても生じるから,固定経費又はこれに準じるものというべきである。
 したがって,1審原告の逸失営業利益を算出するに当たって,これを控除すべきではなく,これに反する1審被告らの主張は採用できない(なお,1審被告らは,本件事故で本件建物の付属設備,構築物,器具及び備品は価値を失ったものであり,価値を失ったものについて,本件事故以降に,その維持に必要な経費あるいは経年劣化による損失を観念することはできない旨主張するが,そうとすると,なおさら,1審原告の逸失営業利益を算出するに当たっては,その減価償却費を控除すべきでないことになるはずである。)。