逸失利益算定と減価償却費

名古屋高裁金沢支部18/10/16判決  

 

  (イ)本件事業年度の決算報告書中の損益計算書の販売費及び一般管理費のうち,1審原告の逸失営業利益損害の算定に当たって,上記ウで説示した固定経費等として営業上の収益から控除すべきでない経費は次のとおりである。
  ① 役員報酬180万円
 役員報酬は,1審原告の営業利益等を含む企業利益から支払われるべきものであるから,1審原告の逸失営業利益損害を算出するに当たっては,これを控除すべきではない。
  ② 

    (イ)本件事業年度の決算報告書中の損益計算書の販売費及び一般管理費のうち,1審原告の逸失営業利益損害の算定に当たって,上記ウで説示した固定経費等として営業上の収益から控除すべきでない経費は次のとおりである。
  ① 役員報酬180万円
 役員報酬は,1審原告の営業利益等を含む企業利益から支払われるべきものであるから,1審原告の逸失営業利益損害を算出するに当たっては,これを控除すべきではない。
  ② 減価償却費274万8693円
 証拠(甲25の4,甲41ないし44,乙24)及び弁論の全趣旨によれば,上記減価償却費は,1審原告が本件事業年度当時所有していた減価償却対象資産(カラオケ店営業用以外のものも含まれている。)についての法律に従ってされた減価償却費であることが認められるが,減価償却費は,使用や時の経過による陳腐化などに伴って生ずる固定資産の経済価値の減少分を見積もり,その見積額を固定資産の耐用年数内の各会計期間に費用として配分するものであり,課税対象となる所得金額を算定する際に用いられる税務会計上の概念であり,現実に金銭の出入りを伴うものではなく,将来の更新に備えて内部留保されるべきものであり,また,使用や陳腐化による経済価値の減少は休業中であっても生じるから,固定経費又はこれに準じるものというべきである。
 したがって,1審原告の逸失営業利益を算出するに当たって,これを控除すべきではなく,これに反する1審被告らの主張は採用できない(なお,1審被告らは,本件事故で本件建物の付属設備,構築物,器具及び備品は価値を失ったものであり,価値を失ったものについて,本件事故以降に,その維持に必要な経費あるいは経年劣化による損失を観念することはできない旨主張するが,そうとすると,なおさら,1審原告の逸失営業利益を算出するに当たっては,その減価償却費を控除すべきでないことになるはずである。)。


② 減価償却費274万8693円
 証拠(甲25の4,甲41ないし44,乙24)及び弁論の全趣旨によれば,上記減価償却費は,1審原告が本件事業年度当時所有していた減価償却対象資産(カラオケ店営業用以外のものも含まれている。)についての法律に従ってされた減価償却費であることが認められるが,減価償却費は,使用や時の経過による陳腐化などに伴って生ずる固定資産の経済価値の減少分を見積もり,その見積額を固定資産の耐用年数内の各会計期間に費用として配分するものであり,課税対象となる所得金額を算定する際に用いられる税務会計上の概念であり,現実に金銭の出入りを伴うものではなく,将来の更新に備えて内部留保されるべきものであり,また,使用や陳腐化による経済価値の減少は休業中であっても生じるから,固定経費又はこれに準じるものというべきである。
 したがって,1審原告の逸失営業利益を算出するに当たって,これを控除すべきではなく,これに反する1審被告らの主張は採用できない(なお,1審被告らは,本件事故で本件建物の付属設備,構築物,器具及び備品は価値を失ったものであり,価値を失ったものについて,本件事故以降に,その維持に必要な経費あるいは経年劣化による損失を観念することはできない旨主張するが,そうとすると,なおさら,1審原告の逸失営業利益を算出するに当たっては,その減価償却費を控除すべきでないことになるはずである。)。

74万8693円
 証拠(甲25の4,甲41ないし44,乙24)及び弁論の全趣旨によれば,上記減価償却費は,1審原告が本件事業年度当時所有していた減価償却対象資産(カラオケ店営業用以外のものも含まれている。)についての法律に従ってされた減価償却費であることが認められるが,減価償却費は,使用や時の経過による陳腐化などに伴って生ずる固定資産の経済価値の減少分を見積もり,その見積額を固定資産の耐用年数内の各会計期間に費用として配分するものであり,課税対象となる所得金額を算定する際に用いられる税務会計上の概念であり,現実に金銭の出入りを伴うものではなく,将来の更新に備えて内部留保されるべきものであり,また,使用や陳腐化による経済価値の減少は休業中であっても生じるから,固定経費又はこれに準じるものというべきである。
 したがって,1審原告の逸失営業利益を算出するに当たって,これを控除すべきではなく,これに反する1審被告らの主張は採用できない(なお,1審被告らは,本件事故で本件建物の付属設備,構築物,器具及び備品は価値を失ったものであり,価値を失ったものについて,本件事故以降に,その維持に必要な経費あるいは経年劣化による損失を観念することはできない旨主張するが,そうとすると,なおさら,1審原告の逸失営業利益を算出するに当たっては,その減価償却費を控除すべきでないことになるはずである。)。


② 減価償却費274万8693円
 証拠(甲25の4,甲41ないし44,乙24)及び弁論の全趣旨によれば,上記減価償却費は,1審原告が本件事業年度当時所有していた減価償却対象資産(カラオケ店営業用以外のものも含まれている。)についての法律に従ってされた減価償却費であることが認められるが,減価償却費は,使用や時の経過による陳腐化などに伴って生ずる固定資産の経済価値の減少分を見積もり,その見積額を固定資産の耐用年数内の各会計期間に費用として配分するものであり,課税対象となる所得金額を算定する際に用いられる税務会計上の概念であり,現実に金銭の出入りを伴うものではなく,将来の更新に備えて内部留保されるべきものであり,また,使用や陳腐化による経済価値の減少は休業中であっても生じるから,固定経費又はこれに準じるものというべきである。
 したがって,1審原告の逸失営業利益を算出するに当たって,これを控除すべきではなく,これに反する1審被告らの主張は採用できない(なお,1審被告らは,本件事故で本件建物の付属設備,構築物,器具及び備品は価値を失ったものであり,価値を失ったものについて,本件事故以降に,その維持に必要な経費あるいは経年劣化による損失を観念することはできない旨主張するが,そうとすると,なおさら,1審原告の逸失営業利益を算出するに当たっては,その減価償却費を控除すべきでないことになるはずである。)。

裁判所で通用する、利息制限法による引き直し計算・過払金額計算



利息制限法の引き直し計算及び過払金額計算
 
 インターネット上に「国が認めた」、「債務減額診断」、「借金は減らせる」などという、「若干、意味不明の誤解を招くような表現」等により、顧客を勧誘しようとする弁護士や司法書士がいます。
 
 債務の整理等には、イ 法律が認めた方法による債務の整理・法定の債務整理と、ロ 法律の定めによらず債務者が任意に債権者と交渉して行う任意の債務整理があります。
 
 これらの債務の整理の前提として、一体、いくらの金額の債務が存在するのか。
 
 これを計算するのは、利息制限法に基づく債務の利息制限法の定めに従った引き直し計算及び過払金額計算です。
 
 下記の計算書は、法律上、正当な債務残高計算である利息制限法に基づく引き直し及び過払金額計算を行います。 
 素人の方でも計算入力できるように工夫しています。
 
 本計算書は
1 裁判所に、そのま提出しても通用する、端数期間暦年計算方法による元利金計算書で
2 借り入れ、追加借り入れ、弁済のおよその年月日借り入れ金額、弁済金額等を入力すれば、およその債務残高、過払い金額の有無等の計算ができます。
  借入金計算の場合の残高計算において留意すべきなのは、借り入れ契約の個数,態様準消費貸借契約の成否などです。
 概算計算ですが、債務整理をするについて支障のない範囲での誤差での計算が可能であり、誤差を無視することが可能です。
3 債務残高及び追加借入金額の合計金額に応じて(準消費貸借)利息制限法の制限利率が自動入力される
4 過払い金額計算も可能な
5 「正確な債務残高」の「計算書」です
 
6 裁判所で、通用する、端数期間暦年計算方法による元利金計算書で、利息制限法利率の自動入力・過払金額計算版です。
 
  本計算書は、追加借入をした場合、追加借入金と未払い元金との合計金で準消費貸借契約を締結したものとして計算させています。
 準消費貸借契約成立の条件を変更する場合には、別途、その条件を指定した態様の計算書に変更する必要があります。   

不在者がいる場合の遺産分割

不在者がいる場合の遺産分割
遺産分割をしたいが、相続人の一人が不在者
 これまでは、いわゆる帰来時弁済(不在者が帰来したときには、他の相続人が、代償金を支払う)の遺産分割をすることがありました。
しかし、不在者のための供託の制度(家事事件手続法146の2)ができたことから、今後は、帰来時弁済の運用は少なくなると考えられているようです
片岡武ほか・家庭裁判所における財産管理・清算の実務(2023年、日本加除出版)。

ネットの誹謗中傷を削除する7つの手順

ネットの誹謗中傷を削除する7つの手順

誹謗中傷に関する書き込みの削除方法についてはいろいろな方法があります。具体的には、以下の通りです。

手順①サイト管理者(運営者・運営会社)に直接削除依頼する
手順②サイト管理者が削除依頼に応じない場合は、送信防止措置依頼をする
手順③送信防止措置依頼でも削除してくれない場合はIPアドレス情報開示
手順④IPアドレス情報開示に応じない場合は仮処分の申し立て
手順⑤プロバイダに発信者情報開示請求書を郵送
手順⑥プロバイダが開示請求に応じてくれない場合は開示請求訴訟
手順⑦発信者に対して削除請求訴訟
それぞれの方法について見ていきましょう。

手順①サイト管理者(運営者・運営会社)に削除依頼する
掲示板やSNS、ブログなどは、そのサービスを提供しているサイトの管理者(法人の場合は管理会社)に対して誹謗中傷にあたる投稿により自分が被害を受けていることを伝えて投稿の削除を要求する方法があります。

この方法ですと投稿者と直接対応する必要がなく、また投稿者の個人情報を特定する必要もありませんので、手間も心理的負担も比較的軽く済みます。

まずは利用規約を確認する
アメブロやFC2などの無料ブログ、ブログやSNSにはそれぞれ利用規約が設けられていて、そのサービスの利用者は利用規約に同意したことになりますが、利用規約では誹謗中傷にあたる投稿を禁じていることが殆どです。

例えばツイッター利用規約には、嫌がらせやヘイト行為などの攻撃的な行為を禁じ、それに反したアカウントはロックまたは永久凍結するという決まりを設けて対応しています。

まずは規約を確認し、自分が受けている誹謗中傷がそのサイトの規約に反しているかどうかをチェックしましょう。

問い合わせフォームや連絡先のアドレスを確認する
合わせて問い合わせフォームやヘルプなどから運営会社にアクセスを取れ、そのサイトの管理に関して何かしらの要望ができる窓口があれば、直接管理者にコンタクトを取り、投稿の削除を依頼して対応してもらいましょう。

もしもフォームが用意されていなくても、連絡先のメールアドレスが記載されていることが一般的です。

この方法は、ツイッターを始めmixiなどのSNSアメーバブログなどの無料ブログを始め、独自ドメインでサイトを運営している人に対しても使える方法です。

手間もかかりませんので、まずはサイトの管理人に対して直接削除依頼のコンタクトを取ってみるのが簡単です。

手順②サイト管理者が削除依頼に応じない場合は、送信防止措置依頼をする
先ほども触れましたが、サイトの管理会社・管理人は「問い合わせフォーム」や「ヘルプ」などのページと合わせて規約違反の投稿について通報する専用窓口を設置しているところが多いため、通常はこのメールフォームなどを通じて誹謗中傷の投稿の削除依頼を行います。

しかし、中にはこういった誹謗中傷の対応窓口をオンライン上に用意していない管理会社もあります。

また、設置していたとしても管理者が削除依頼に応じないこともあります。投稿した側の表現の自由も保障しなければならないからです。

サイトの管理人が「この書き込みは権利の侵害にあたらない」と判断する場合もあるので、この場合は、プロバイダ責任制限法という法律で規定されている、送信防止措置依頼という手続きで、削除依頼を郵送で行う手続きに移ります。

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削除依頼書の作成からの流れ
郵送で削除依頼を行うときには、書式を自分で作成しなければなりません。管理者はそれを受け取った後、削除の対応を取ることになります。

運営者が判断して削除することが難しい場合は、誹謗中傷の書き込みを行ったサイトやブログの作成者に運営者がコンタクトを取り、削除しても問題ないかを照会します。

このとき、相手が反論しなければおおむね7日以内に削除という流れになります。

投稿削除の手順や方法は、プロバイダ責任制限法に関連するガイドラインに基づいて規定されています。プロバイダ責任制限法ガイドラインを作成しているテレコムサービスという団体があるのですが、そこで誹謗中傷の削除依頼のための書式を用意しています。

送信防止措置依頼をするときには、この書式を利用して削除依頼を行うと書類作成の手間が大きく省けます。

こちらのサイトではプロバイダ責任制限法に関する情報を閲覧できるのに加えて、送信防止措置依頼書式のダウンロードもできます。

参考外部サイト:送信防止措置依頼書

送信防止措置依頼のメリット
無料ブログやSNSの管理者、レンタルサーバーの運営会社に送信防止措置依頼を行ったとしても、やはり削除するかどうかの判断は運営会社の任意です。

そのため削除依頼者が希望する対応をされないケースも少なくありません。

とすれば、個人的に削除依頼をするという意味でも、手順①と何ら変わりはないのではないかとも思えますよね。

しかし、手順①の場合と大きく違うのは、それがプロバイダ責任制限法ガイドラインに沿ってテレコムサービス協会によって作成された書面だということです。

書面を見ていただくとわかりやすいですが、送信防止措置依頼書にはしっかりと自分の住所や氏名を記入した上で、どんな権利が侵害されているのかなどを詳しく記載しなければなりません。

単に個人から「この書き込みは誹謗中傷に当たるので削除してください」という依頼をメールや問い合わせフォームから行うよりも、このような書面が郵送で届く方が心理的圧力がかかります。

「送信防止措置依頼書を放置すると、法的措置に出られて厄介なこと送信防止措置依頼ができないこともある?

書き込み削除の心理的圧力をかけられる「送信防止措置依頼」ですが、送信防止措置依頼ができない相手方もいるので注意しましょう。

送信防止措置依頼の対象となる相手方については、「プロバイダ責任制限法」によって「特定電気通信役務提供者」と定められています。

第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

三  特定電気通信役務提供者 特定電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供する者をいう。

少しわかりづらいのですが、この「特定電気通信役務提供者」が指すものには、プロバイダやサーバの管理者だけではなく、法人や個人が管理しているサイト、書き込みが自由な掲示板のサイトなども含まれます。

しかし、裏を返せば、掲示板やコメントなどからの書き込みができない一般的なサイトに関しては、特定電気通信役務提供者には当たらないことになります。

そのため、そのようなサイトに対しては手順②は使えません。

手順③送信防止措置依頼でも削除してくれない場合はIPアドレス情報開示
手順②の送信防止措置依頼を行ったとしても、実は削除するかどうかの判断は運営会社の任意です。

そのため削除依頼者が希望する対応をされないケースもやはり少なくありません。

次に取れる方法は、自分で投稿者を特定して削除請求を行う方法です。慰謝料の請求や刑事告訴を考えているような場合にもこの方法で相手を特定する必要があります。

情報開示請求のメリット
誹謗中傷の被害を受けた人の中には、「慰謝料請求とかそこまではしたくない」と考える人もいるでしょう。しかし、発信者情報開示請求が認められることのメリットはそれだけではありません。

発信者情報開示請求をすると、窓口となるサイトの管理会社から本人に「情報を開示してもいいですか」という確認がいきます。これまでは削除依頼に応じず、度重なる依頼に無視を決め込んでいたとしても、自分の個人情報が相手に開示されるとなってはそうも言っていられません。

この時点でやっと「事態が大きくなっている」ことに気づく相手方もいます。発信者情報開示請求は、相手に「削除しなければ個人情報を特定し、訴訟も辞さない覚悟がある」ことを伝える大きな手段になるのです。

しかし、この場合はホスティングサーバの運営会社やサイトの管理者に削除依頼をするよりも少し手間がかかります。手順を見ていきましょう。

まずは投稿者のIPアドレスを特定する(情報開示請求)
ネットの誹謗中傷ではアカウントやIDで誹謗中傷の投稿をされることが多いため、ほとんどのケースでは誹謗中傷の投稿者について本名や住所など、個人情報を知りません。

投稿者を特定するためにはIPアドレスを特定し、その後そのIPアドレスを元に利用しているプロバイダを特定、最終的に誹謗中傷の書き込み相手の個人情報を特定するという流れになります。

サイトの管理人にIPアドレス開示を請求する
サイトの管理人に開示を求める情報は、IPアドレスであると書きました。正確にはIPアドレスに加えて、誹謗中傷の書き込みが行われた時間(タイムスタンプ)の開示も請求します。

誹謗中傷が書き込まれた時間に誰にどんなIPアドレスが割り振られていたのかを知ることによって、そのIPアドレスを使用している人がどんなインターネットサービスプロバイダを利用しているのかを特定できます。

これは、先ほど書いた削除依頼の手順と同じく、オンライン上に対応窓口があればそこを通じて行います。 サイトの管理人の対応の流れも同じで、プロバイダ責任制限法に則って、開示請求を受けたサイトの管理人が書き込みを行った人に対して情報開示を許可するかの照会をおこないます。

ただ、誹謗中傷を行った投稿者の連絡先がわからないなどの事情があればこの照会手続きは省かれることもあります。あくまで照会は任意のものです。 ちなみに誹謗中傷の投稿をした人には、この情報開示の照会が突然来ることになります。情報開示を拒んだとしても、自分がしたことの重大さに気づいて自発的に投稿を削除する効果も期待できます。

郵送の場合は「発信者情報開示請求書」を作成
サイトの管理人が専用の問い合わせフォームを用意していない場合は、削除依頼のときと同様にサイトの管理人に対して郵送でIPアドレスの開示請求を行います。こちらもテレコムサービスが書式を作成しているので、それを使って行いましょう。

詳しい書き方は(リンク:「送信防止措置依頼書や開示請求書の書き方(タイトル未定)」を参照してください。

注意!ログの保存請求を忘れない
IPアドレスがわかっても、インターネットサービスプロバイダが通信記録(ログ)を残していなければ投稿者を特定することができません。 しかしこの通信記録は3ヶ月〜6ヶ月で自動的に削除されることが多いため、ISPに対しては情報開示請求と合わせて「ログの保存請求」を行う必要があります。

なお、ログの保存請求についても裁判所の仮処分を申立てることが可能です。

【補足】インターネットの仕組みと情報開示請求の流れ
しかし、なぜIPアドレスの特定から始めなければならないのでしょうか?情報開示請求は結果的に2度行うことになり、煩雑ですし時間もかかります。一度でできればそれに越したことはありませんが、そこを理解するにはまず、インターネットの大まかな仕組みを知っておくことが大切です。

家にインターネットを引いてブログやSNSを楽しむとき、まずはNTTやWiMAXなどのインターネット回線会社と契約し、さらにSo-netニフティ、OCNなどのプロバイダ(インターネットサービスプロバイダ・ISPと呼びます)と契約することでインターネットを利用できることになります。

インターネットが使える環境が整ったら、ツイッターやブログなどいろいろなサービスを利用することになります。このように、誹謗中傷の書き込みが行われるまでには①プロバイダと契約②ツイッター掲示板などを利用 という2段階の手順があるのです。

そして、それぞれが保有している情報も異なります。プロバイダを契約するときには、本名や住所、クレジットカードの番号など、重要な個人情報を相手に伝える必要がありますが、ツイッター掲示板を利用するときにはこのような個人情報を伝える必要はありませんよね。

そのため、ツイッターなどに対して投稿者の本名などを聞いても、そもそも情報を持ってすらいないのです。 よって、まずは誹謗中傷がどのコンテンツでどんなIPアドレスからなされたのかを特定しなければならないということです。

手順④IPアドレス情報開示に応じない場合は仮処分の申し立て
ネットの誹謗中傷にあたる書き込みに対してプロバイダなどが削除依頼や発信者情報開示請求に応じてくれないとき、裁判所に処分を申し立てることができます。

ネット上の誹謗中傷や名誉毀損は放置するとさらに被害が拡大し、誹謗中傷された人や法人に大きな不利益を与えかねません。そのため、誹謗中傷や名誉毀損を受けている人の利益を保護するために暫定的に行う保全措置が仮処分です。

仮処分のメリットはなんといっても対処が早いこと。もしも通常の裁判を起こしたとすれば、誹謗中傷の投稿削除についての判決が出るには通常半年以上かかってしまいます。しかし、仮処分であれば数週間から数カ月で仮処分の決定が下されるのです。

ネットの誹謗中傷は迅速な対応が不可欠ですので、通常の裁判手続きを踏むよりも仮処分の申し立てを選びましょう。ちなみに、慰謝料や損害賠償を請求するための訴訟は仮処分後でも起こすことができます。

ネットの誹謗中傷に関する仮処分として、削除の仮処分と開示請求の仮処分、開示請求と並行して行うログ保存の仮処分があります。 仮処分申し立ての具体的な内容については、(タイトル未定)「掲示板や2chの削除依頼は裁判所に訴える!仮処分命令の手続きや内容」を参照ください。

手順⑤プロバイダに発信者情報開示請求書を郵送
IPアドレスが特定でき、インターネットサービスプロバイダがわかったら、ISPに対して発信者情報開示請求を行います。

無料ブログやSNSの場合
サイトの管理人は発信者情報開示請求について郵送での受付を行っているところが少なくありません。発信者情報は本名や住所などの重要な個人情報ですので、手続きもしっかりとしたものである必要があるからです。

プロバイダ責任制限法ガイドラインを作成しているテレコムサービスでは、発信者情報開示請求書の書面も作成し、公開しています。この書面を利用して情報開示請求書を作成しましょう。

このとき、請求書以外に公的な身分証明書のコピーや印鑑証明書の添付を求められることが多いため、必要な書類についてはしっかりと確認してください。 ▪発信者情報開示請求書書式

独自ドメインの場合
情報開示はプロバイダ責任制限法に基づく利用者の権利とされています。独自ドメインを取得して、レンタルサーバ(ホスティングサーバ)を経由してサイトやブログを作っている投稿者に対しては、ISPのほかにレンタルサーバー会社に情報開示請求する方法もあります。

判例でも、レンタルサーバー会社に対して発信者情報の開示が認められました。

レンタルサーバー会社によっては、しっかりと手続きについて明記しているところもあります。独自ドメインサイトのIPアドレスから利用しているレンタルサーバー会社を割り出したら、そのレンタルサーバー会社の運営サイトに飛んで具体的な手続きについて確認してみてください。

手順⑥開示請求に応じてくれない場合は開示請求訴訟
このように印鑑証明書などを用意して情報開示請求を行ったとしても、本名や住所などは重要な個人情報ですので、必ずしも開示されるわけではありません。 管理者らが情報開示に応じてくれなかった場合には、開示請求訴訟という訴訟を起こすことになります。個人からの情報開示請求に応じる管理人はほとんどいませんが、法的手続きに則った上での開示請求とあれば話は別です。

手順⑦発信者に対して法的措置を取る
やっと発信者の個人情報が特定できました。個人情報を特定して次にどうするかというと、直接「書き込みを削除してほしい」と交渉するのもいいですが、直接交渉して削除してくれるような人ならば、ここまで手順を踏む必要はなかったでしょう。 ここまでくれば、発信者に対して投稿削除請求の訴訟を起こすのが一般的です。

仮処分や訴訟の申し立ては弁護士に依頼が無難
 https://wakailaw.com/hibou/225?utm_source=ReviveOldPost&utm_medium=social&utm_campaign=ReviveOldPost

表見相続人は、相続した財産の所有権を時効により取得することができる

遺言無効確認等請求事件

裁判年月日    
 令和6年3月19日

法廷名    
最高裁判所第三小法廷

相続回復請求の相手方である表見相続人は、真正相続人の有する相続回復請求権の消滅時効が完成する前であっても、当該真正相続人が相続した財産の所有権を時効により取得することができる

母を、女性を、   保護、防御する法律実務への道標

母を、女性を、
  保護、防御する法律実務への道標NO1
 弱者を 保護する 弁護士業務・法律業務、必携!!
 
                      (弁護士服部美知子)  (弁護士服部陽子)         
             (弁護士五右衛門)
 「消費者金融金利計算と返せ計算くん」・「金利の黒本」著者
  各種リーガル計算プログラム制作の第一人者
 「限定承認」相続実務の日本最初の実務解説者・パイオニアetc 
 
NO1 
 婚姻費用・養育費用金額算定計算書
               標準表に基づくもの

 
(1)裁判所が採用している、婚姻費用・養育費用計算表を計算プログラム化した。
(2)母(父)が子供らを養育している場合を想定した標準版である。
(3)母(父)の双方が子供らを養育している場合の応用版は、別に制作する。
(4)総収入額 → 給与所得者の場合は「源泉徴収票の支払金額」で、"自営業者の場合には「確定申告書の課税される所得金額」です。
(5)基礎収入割合 → 給与所得者の基礎収入と自営業者の基礎収入の割合は、計算書下段を参照して下さい(下記のとおり)。
給与所得者
基礎収入=総収入×0.38~0.54(割合表は下を参照) 給与収入(万円)~75 54、~100 50、~125 46、~175 44、~275 43、~525 42、~725 41 ~1325 40、~1475 39 、~2000 38
自営業者
基礎収入=総収入×0.48~0.61(割合表は下を参照) 給与収入(万円)~66 61~82 60 ~98 59 ~256 58、~349 57、~392 56、~496 55、~563 54、~784 53、~942 52 ~1046 51 ~1179 59 ~1482 49、~1567 48
(6)子の生活指数 → 年齢0歳~14歳までの子は62、年齢15歳~19歳までの子は85として入力する。
(7)義務者の生活指数 → 義務者の生活指数は100として入力する。
 
 この計算書を、そのまま家庭裁判所に提出しても差し支えはないでしょう。弁護士五右衛門は、そのまま家庭裁判所に提出しています。
 
ご注意1
 (株)頭脳集団作成のExcel計算プログラムはマクロを使用しています。
 ご使用のExcelについて「マクロセキュリティの設定を『低』に設定変更」して頂かないと作動しません。
 2004/1/22以降提供分は、Excel2007以降のExcelで利用できる拡張子が、xlsmのファイルです。Excel2007以降のExcel をご使用下さい。
 
ご注意2
(1) 最近の、クラウド態様によるofficeを使用されている場合、計算書のマクロのすべてが抹消ないし無効化される場合があり、また、本計算書をクリックして開けた場合、「マクロを無効化した」との表示がなされて、マクロが作動しない場合があります。
(2) 後者の場合、「コンテンツを有効にする」との部分をクリックすればマクロが作動するようになります。
 
↑↑↑↑↑↑↑↑↑ 確立した算定方法
                   確立していないケース ↓↓↓↓↓↓↓↓ 
 
NO2 
 養育費用双方養育等の応用ケース
 
 標準計算書で処理できないケースについて、どのように算定するのかという点については、現在、確立した算定方法がありません。「複数の考え方、算定の仕方がある」というのが現状と理解して下さい。
 
一 大阪高裁の一例
               
1 阪高裁令和5年1月13日付決定によれば、
① 「子の養育費は、当該子ごとに算定されるものである」という論理から、
② 養育費を請求する請求者と相手方との間において「控除算定などはしない」とされている。
2 この大阪高裁決定の論理からすれば「控除計算を想定する」「応用版」は不要ということとなり、、個別に算定すればよいということとなるか、、?
① 養育費を請求をされている当事者について、「養育義務のある子ら全員に対し負担すべき養育費金額」を算定し
② ①を前提として、請求にかかる子の養育費については、「養育義務ある子ら全員に対する生活費」に対する「請求にかかる子らの生活費」の生活費割合を算出して、請求にかかる子の養育費を算定する。
③ 大阪高裁の算定方法は、①及び②記載の方法のようであるが、理論的に正当であるかのように見えるが、現実の、養育費の負担の実際から乖離する場合を認めることとなるのかな。
  実態と乖離することによる「不都合がある場合」には、その「不都合の主張」を待って、個別妥当性を追求するか、、、、?? 
 
二 ひとつの算定方法
 
  請求者、相手方間で、相殺・控除計算をする方法の一例