権利抗弁

「権利抗弁」を研究中の俺
同時履行の抗弁や留置権の抗弁のような,請求権に対し,その履行を拒絶する抗弁の原型は,ローマ法のexceptioというものでした。
これが,中世ローマカノン法のexceptio jurisへ引き継がれ,さらに,ドイツ民法の「実体法上のEinrede」へと発展しますが,それは,次のような抗弁であるとされてきました。
ア 請求権に対して,その履行を拒絶する機能が認められるものである。
イ この抗弁が認められるためには,被告が,当該訴訟手続において,当該抗弁を行使するとの主張(=権利主張)をすることを要する。
 日本の最高裁判所は,留置権の抗弁について,母法であるドイツ民法の「実体法上のEinrede」と同様に,上記イを必要としました(最判昭和27年11月27日民集6巻10号1062頁)。すなわち,留置権の抗弁では,被告において,留置権を行使する意思を表明すること(=留置権の権利主張)を要するものとしたのです。そして,このような「権利主張」が必要な抗弁を「権利抗弁」と呼び,それ以外の通常の抗弁を「事実抗弁」と呼ぶことを明らかにしたのです。
@坂田宏・民商法雑誌110巻4・5号795頁
草鹿 晋一、服部勇人、他140人
 
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