給料ファクタリング「貸金業法の貸し付けにあたる」  最高裁第三小法廷2023年2月20日決定

給料ファクタリング「貸金業法の貸し付けにあたる」 
最高裁第三小法廷2023年2月20日決定

 給料の前払いをうたい文句に事実上、現金を貸し付ける「給料ファクタリング」が、貸金業法が適用される「貸し付け」にあたるかが争われた裁判で、最高裁第三小法廷(宇賀克也裁判長)は「あたる」との初判断を示した。20日付の決定で、無登録で貸金業を営んだとして同法違反などの罪に問われた被告の上告を棄却した。懲役3年執行猶予5年、罰金900万円とした一審判決が確定する。

 給料ファクタリングでは、給料を受け取る権利(賃金債権)を客が実際の給料額より安く業者に売り、給料受け取り後に額面通り買い戻す。客は現金を早く手に入れ、業者は差額分の利益を得る。金融庁や下級審は「貸し付けにあたる」としていたが、最高裁も同様に判断した。

 一、二審判決によると、被告(51)は2020年3~7月、貸金業の登録を受けずに、504人に969回で計約2790万円を貸し付けたうえ、法定利息を上回る利息を受け取った。給料額の6割程度で債権を買い取り、客が買い戻せば、勤務先に知られない仕組みになっていた。

 被告側は、客にとって債権の買い戻しは義務ではなく、貸金業法出資法が規制する「貸し付け」ではなかったなどと主張した。第三小法廷は、客は勤務先に知られないために、事実上債権を買い戻さざるを得なかったと指摘。一連の取引は、実質的には返済の合意がある金銭の交付と同じだと判断した。(遠藤隆史)