弁護士五右衛門・相続人が持つ仮払いを求める権利の差押

金融法務事情2100号8頁

藤原彰吾(みずほ銀行法務部副部長)

「実務的には、大法廷決定後において、例えば相続債権者から、全相続人の持分をすべて差し押さえるような預金の差押えが来たときには、その差押債権者は取り立てることができるという実務は、まだ実例の数は少ないですが、結論として定着しつつあると思っています。ですので、今ここで問題提起をされた論点について、実務上顕在化する可能性があるとすれば、相続人の債権者がその当該相続人の預金に係る相続持分を差し押さえた場合に、その当該相続人が持っている仮払いの権利を行使できるのか、いい換えれば、当該相続人の仮払いの権利の範囲で取立てできるのかというケースになろうかと
思われます。相続人の預金に係る持分を差し押さえたのだから、当該相続人が持つ仮払いを求める権利も一緒に行使できるのか、 ということですね。そこまで差押えの対象に含まれているのかどうかは、非常に興味深く、実務に直結する話だと思っています。」