中国法における裁判所による違約金増減の運用と理念・呉, 逸寧

中国法における裁判所による違約金増減の運用と理念・呉, 逸寧
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 法院が中国人民銀行による同類の貸付利率(1~4倍)を基準

 ここで、なぜ法院が債権者の法定遅延利息を中国人民銀行の貸付利率の1倍から4倍までに認定しているのかというと、最高人民法院人民法院による借金案件への審理に関する若干の意見」(法〈民〉発[1991]21号)6条は、「民間貸付の利率が銀行の利率よりも適当に高くなることができる。各地の人民法院が本地域の実際的な状況に基づき自由にその利率を定めることができるが、中国人民銀行による同類の貸付利率の4倍を超えてはならない。超えた部分の利息が保護されてはならない。」と規定するからである。
 それゆえに、本条文が民間借金による最高貸付利率を定めるものであるが、金融機関による貸付利率も、中国人民銀行による同類の貸付利率の4倍を超えてはならないと類推適用されるべきである。さもなくば、法律が民間貸付による高利貸しを禁止しながらも、金融機構貸付による高利貸しを認めるという不都合が生じることになる。
したがって、民間貸付、金融機構貸付の場合を問わず、法定貸付利率を認められる範囲は、中国人民銀行による同類の貸付利率の1~4倍ということになる。